キミと初恋、はじめます。
「少し、スイーツから離れてみない?」
キョトンとした皆に、あたしはさらに言葉を続ける。
「喫茶店って、スイーツだけじゃなくて軽食とかもあるでしょ? ケーキとかもいいけど、この際サンドイッチとかはどうかな?」
「サンドイッチ……?」
「例えば、挟むものを野菜系にすれば甘い物が苦手な人でも食べられるし、生クリームとか挟めばスイーツにもなるよ」
どう?と笑顔で首を傾げれば、その場の皆はみるみるうちに顔を明るくしていった。
「いいじゃん!サンドイッチ!」
「材料費もそこまでかからなそうだよねっ」
「バリエーション豊富にすれば、人気も出るかも!」
良かった。……やる気、出たみたい。
咄嗟に思いついたものだけど、この状況なら一番良いと思うんだ。
スイーツだけに絞ってしまうと、甘いものが苦手な人には向かないお店になってしまう。
経費の事も、サンドイッチなら何とかなる気がするし……。
「さすが華沢。みんな、それでいいか?」
野村くんの言葉に文句なしというように頷く料理係メンバー。
さっきまでの様子が嘘のように、皆楽しそうに各自動き出した。