キミと初恋、はじめます。


「どうなの?」


「っ……幸せに、決まってるでしょ?」



そんな事をあたしに聞くなんて、愚問でしかない。


だって、今のあたしの一番の幸せは、間違いなく翔空と一緒にいれることなんだから。



「……まあ、聞くまでもなかったか。いつも先輩と話す時、幸せそうだもんな」



なにが言いたいんだろう。

意図がわからず、困惑したまま立ち尽くす。



「……俺、華沢が好きだ」


「え?」



……え、えぇぇぇっ!?


突然の告白。

野村くんの真剣な眼差しが、あたしを真っ直ぐに見つめていて。


冗談ではない事がわかる。


コクリと息を呑むと、野村くんはフッと笑って顔を逸らし、少し俯いた。



「振られるのわかってて告るのも勇気いるけどさ、ちゃんと諦めつけたいんだよ」



っ……なんで、そんなに前を向けるんだろう。


傷つくってわかってて、それでもあたしに想いを伝えてくれた野村くんは強い。


迷って迷って伝えるのに時間がかかったあたしとは大違いだ。


あたしは真っ直ぐ野村くんを見つめ返し、ペコッと頭を下げた。



「あの、野村くん……。あたし、翔空が好きだから野村くんの気持ちには応えられない。ごめんね」



そんなあたしに、野村くんは小さく「さんきゅ」とだけ言って、あたしの頭にポンッと手を置いた。



「華沢と先輩の間に隙があれば、俺ももっと積極的に華沢の事落とすんだけど。……先輩、華沢の事となると怖ぇし」



え?怖い?


顔をあげて、キョトンとした顔をしたあたしを見て、野村くんは可笑しそうに笑った。
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