キミと初恋、はじめます。


「あら、シキちゃん?」


あたしが荒い息をしながら、医務室に入ると南先生が驚いたように目を見開いた。



「先生、翔空来てませんか!?」


「え、えっ?翔空くん?来てないけど…」



っ……てことは、花園?

てっきり医務室にいると思ってたのに。



「うーん……もしかしたら、理事長の所にいるんじゃないかしら?」

「えっ?理事長?」



南先生の言葉に首を傾げると、先生は頷いた。



「翔空くん、よく理事長に使われてるからね」


つ、使われてる?

あたしはさらに首をひねったが、とりあえず行ってみようと踵をかえす。


「南先生、ありがとうございました!」


「あ、シキちゃん!すっごく似合ってるわよ!」



笑顔であたしに手を振ってくれた南先生に、はにかんで手を振り返し、そのまま医務室を飛び出した。
< 202 / 418 >

この作品をシェア

pagetop