キミと初恋、はじめます。
「歌手になると家を出ていって、結局今やっているのはモデルなんだろう?やりたい事も出来ていないのに、少し上手くいったからって調子に乗ってるんじゃないのか?」
「っ……俺はっ」
「違うっ!!!」
気づけば。
今まで生きてきた中で、最大とも言えそうなくらいの大声でそう叫んでいた。
さすがに驚いたらしいお兄ちゃんがピタッと黙り、お父さんは少しだけ目を見開いた。
そんなあたし達3人を、お母さんはオロオロと見守っている。
「いい加減にしてよ……お父さん」
きっと、これも人生で初めての父親に対しての反抗。
お兄ちゃんの事を、悪く言う人は……たとえ実の親だとしても、許せない。
その気持ちだけが、あたしを奮い立たせていた。