キミと初恋、はじめます。
「どうしたの?」
お母さんの目の前に座り、あたしは小さく息をついた。
「転勤の事、なんだけど」
「……えぇ」
きっとあたしの答えは、お母さんを傷つけるものだ。
それでも……
「あたし、やっぱりここにいたい。……星凜学園に通いたいの。お母さんをひとりにするのは…心苦しい、けど」
無意識にぎゅっと強く手を握っていた。
言葉にすればするほどに、お母さんを傷つけるんじゃないかって不安が押し寄せて来る。
「…シキが決めたなら、そうしなさい」
「え?」
その優しい声に、バッと顔を上げると机に頬づえをついて、お母さんは笑っていた。
「大切な人が出来たんでしょう?」
「……うん」
「お母さんは、シキが幸せならそれが一番だと思ってる。自分でここに残るって決めたのなら、お母さんは応援するわよ」
「っ…お、母さん…!」
喉の奥が締め付けられるように、涙がこみ上げてくる。