キミと初恋、はじめます。


『あたしも言いたかった。聞いてほしかったよ。なっちゃんや祐介くん、もちろん翔空にも』



「………………」



『でもきっと、あたしが北海道に行くって言ったら、皆止めてくれるでしょ。……いや、もしかしたら笑顔で送り出してくれたかもしれない。
どちらにしても多分……あたしはきっと、良くない答えを出してしまっていたと思う』



ハッとした。


もし、詩姫が話してくれていたら私は一体どうしていたのだろう。


止めていた?


笑顔で送り出していた?



行って欲しくない気持ち。

詩姫の決意を邪魔しない気持ち。



私は、どちらを選んでいたのだろうか。


それに、良くない答えって…




『なっちゃんが止めてくれたら、きっとあたし甘えちゃうんだ。行かなきゃ行けないのに、もっとそこから離れられなくなる。もっと苦しくなる。……そう思った』



「……じゃあ私が、笑顔で送り出したら?」



「それも同じ。もっと苦しくなると思う。あたしは、皆には必要ないんだって。あたしの場所はここじゃないんだって。

……そうではないとわかっていたとしても、あたしはそう思ってしまうんじゃないかって怖かった」




詩姫の声が、震えてる。


今、詩姫は泣くのを我慢してると、受話器越しでもわかった。



……それほどまでに、苦しかったの?


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