キミと初恋、はじめます。
ああ、そうか。
詩姫が笑顔で帰ってこれる場所を作っておくのが、私の…いや、私たちのやるべき事。
いつだったか、ずいぶん前に詩音さんに聞かれたことがあったっけ。
〝シキがこの場所にいられなくなったら、どうする?〟
って。
あの時、私も祐介も何一つ迷わずに、ごく当たり前に〝いつでも帰ってこれる場所にするだけだ〟と、答えていた。
わかっていたのに。
……いや、わかっていたからこそ、考えるたびにわからなくなってしまったのかしらね。
「……翔空、詩姫に変わって」
『うん。シキ、夏がかわってって』
『……なっちゃん!』
嬉々とした詩姫の声に、私の頬が緩んだ。
「あんたが帰ってこれる場所をちゃんと作って待ってるから」
『うん……!絶対帰る。だからなっちゃん、待っててね』
「当たり前でしょ。友達なんだから」
『ちがうよ、なっちゃん』
間髪いれずに返され、思わず顔が怖ばった。