キミと初恋、はじめます。
「ほら、こっちおいで!」
「えぇっ!?」
頭を殴られた衝撃で抱きつく手が緩んだ隙に、ショートカットの女の子があたしの腕を引っ張って引き剥がす。
な、なにがどうなってるの!?
状況が読めずにその女の子の後ろでオロオロしていると、翔空が不機嫌そうな顔をして女の子を睨んだ。
な、なに……?
「……夏、シキの事返して」
「誰が返すかこの変態野郎」
「へ、へんた……!?誰が変態だよ!俺は変態じゃない!」
珍しく翔空が声を荒らげ、対してその女の子はフンッと顔を背けた。
「大体フラれた癖に未練がましいのよ!その上嫌がってるこの子を抱きしめるとか、ただの変態でしかないでしょ。ホント馬鹿ね、あんた」
こ、この子なに者……!?
この翔空に向かって数々の暴言!
あたしは何故か尊敬の眼差しを向ける。