キミと初恋、はじめます。


「ほら、こっちおいで!」


「えぇっ!?」



頭を殴られた衝撃で抱きつく手が緩んだ隙に、ショートカットの女の子があたしの腕を引っ張って引き剥がす。


な、なにがどうなってるの!?


状況が読めずにその女の子の後ろでオロオロしていると、翔空が不機嫌そうな顔をして女の子を睨んだ。


な、なに……?



「……夏、シキの事返して」


「誰が返すかこの変態野郎」


「へ、へんた……!?誰が変態だよ!俺は変態じゃない!」



珍しく翔空が声を荒らげ、対してその女の子はフンッと顔を背けた。



「大体フラれた癖に未練がましいのよ!その上嫌がってるこの子を抱きしめるとか、ただの変態でしかないでしょ。ホント馬鹿ね、あんた」



こ、この子なに者……!?

この翔空に向かって数々の暴言!


あたしは何故か尊敬の眼差しを向ける。
< 83 / 418 >

この作品をシェア

pagetop