キミと初恋、はじめます。
「俺、渋矢 祐介(しぶや ゆうすけ)!翔空のダチでなっつんの彼氏っす!よろしくね、シキちゃん!コイツ、シキちゃんにベタ惚れみたいだから……いってぇっ」
最後まで言い終わらないうちに、樋口さんのゲンコツが飛んできて、頭を抱える渋矢くん。
「あんたは話が長いのよ!もっと簡潔に終わらせなさい!馬鹿!」
「なっつんは暴力的すぎなんだよ!」
また口喧嘩をはじめてしまった二人に目をぱちくりさせていると、翔空がツンツンとあたしの袖を引っ張ってきた。
「ん?」
「俺と祐介は2年だけど、夏は1年だから。シキと同じクラスだし、俺がどうしてもそばに入れない時は夏が守ってくれるよ。そこら辺の男より全然強いから安心して?」
え、樋口さん同じクラスなの!?
あたしが驚いて彼女を見つめると、それに気づいたらしくニコッと笑ってくれた。
あ……笑うんだ……なんて当たり前の事を思いながら、微笑み返す。
「あんたは私が守ってあげるから、安心しなよ?あんな女共に負けちゃダメだからね」
ひ、樋口さんイケメン!!
男の子にも勝るかっこよさに思わずキュンッとしてしまいながら、あたしは「うん!」と頷いた。