キミと初恋、はじめます。
「樋口さん!よろしくね!」
「やめてよ、樋口さんなんて。夏菜でいいよ」
「えっ……じゃあ、なっちゃん?」
「まぁいいや。よろしく、詩姫」
わっ!詩姫って呼んでくれた!
嬉しいな、なんか。
今までの友達はずっと〝華沢さん〟だったから……ていうのも、自分が一線ひいてたからっていうのはあるんだけどね。
「詩姫…シキ…シキつん…シキりん……」
なにやらぼそぼそと呟き出した渋矢くんに、あたしは首を傾げる。
「ゆーすけはね、女の子にあだ名つけるのが好きなんだよ」
翔空が苦笑しながら教えてくれて、なるほど!と納得する。
なっちゃんの事も、なっつんて呼んでたもんね。
「あ、いいの思いついた!」
なんかワクワク!
「りんご姫!」
意気揚々と言った渋矢くんに
「……え?」
とあたしが目をぱちくりさせ
「は?」
となっちゃんは眉根にシワをよせ
「シキは俺の姫だから却下」
翔空は真面目な顔で渋矢くんを睨みつけ
「……私、つくづく思うけど裕介くんのネーミングセンスって本当理解し難いわ」
南先生は呆れたな顔で頷いた。
見事に四者四様の反応を見せるあたし達。