イジワル同期とスイートライフ
なりゆきの関係
「ん…あれ? ここダブってるぜ、こりゃ同一人物だ」
「えっ、ほんと、別人の名前に見えるけど」
「表記が違うだけだ。中東営業の奴、チェックが雑だな、言っとくよ」
「いいよ、こっちで対応するから」
前向きに言ったつもりが、じろっと厳しい視線をもらった。
久住くんのPCを横から覗き込んでいた私は、つい身構える。
お風呂上がりのいい匂いをさせて、彼は「あのなあ」と口を開いた。
「そういう問題じゃないだろ、不備は不備って指摘して、同じことが二度と起こらないようにしないと」
「でも、しづらいよ、指摘とか…」
「そこを空気悪くせずに言うのが仕事ってもんだろ。それを避ければお前は楽だろうけど、全体的に見たらなにもいいことない。手抜きって言うんだよ、そういうの」
…きつい。
が、正しい。
「やっぱり、海外と交流があるからなのかな、そういうはっきりした感じ」
「知るか、単に考え方の違いだろ、なんでもかんでも国内と海外に分けんなよ、それこそ国内の悪いくせだと思うぜ」
「ごめん」
「すぐ謝んのもお前の悪いくせな」
「日本人だから」
「しつこいっての」
最後のは私なりの冗談だ。
理解してもらえたらしく、久住くんは笑って、私の首に手を回した。
そうして引き寄せて、実に何気ないキスをくれる。
私のことを、好きでもないはずなのに。
「久住くんて、いくつ?」
「27だよ、お前違うの?」
「同じ」
突然そんなことを聞いた私に、彼は不思議そうな顔をした。
あのね、こんなことも知らないのにつきあっているという、この状況のほうが不思議なんだよ、私には。
「えっ、ほんと、別人の名前に見えるけど」
「表記が違うだけだ。中東営業の奴、チェックが雑だな、言っとくよ」
「いいよ、こっちで対応するから」
前向きに言ったつもりが、じろっと厳しい視線をもらった。
久住くんのPCを横から覗き込んでいた私は、つい身構える。
お風呂上がりのいい匂いをさせて、彼は「あのなあ」と口を開いた。
「そういう問題じゃないだろ、不備は不備って指摘して、同じことが二度と起こらないようにしないと」
「でも、しづらいよ、指摘とか…」
「そこを空気悪くせずに言うのが仕事ってもんだろ。それを避ければお前は楽だろうけど、全体的に見たらなにもいいことない。手抜きって言うんだよ、そういうの」
…きつい。
が、正しい。
「やっぱり、海外と交流があるからなのかな、そういうはっきりした感じ」
「知るか、単に考え方の違いだろ、なんでもかんでも国内と海外に分けんなよ、それこそ国内の悪いくせだと思うぜ」
「ごめん」
「すぐ謝んのもお前の悪いくせな」
「日本人だから」
「しつこいっての」
最後のは私なりの冗談だ。
理解してもらえたらしく、久住くんは笑って、私の首に手を回した。
そうして引き寄せて、実に何気ないキスをくれる。
私のことを、好きでもないはずなのに。
「久住くんて、いくつ?」
「27だよ、お前違うの?」
「同じ」
突然そんなことを聞いた私に、彼は不思議そうな顔をした。
あのね、こんなことも知らないのにつきあっているという、この状況のほうが不思議なんだよ、私には。