今、2つの色で

聞いたことのない、駿の声。


「でも凛夏は特別だった…ほかの女の子は飽きたら俺を捨てたけど…凛夏はどんな俺でも好きでいてくれて、ずっと俺のこと、待っててくれた」


見たことのない、駿の表情。


やめて、やめて。


何かが、溢れそうになるから。


それ以上、言われたら。


「でもね…その気持ちに気がついても、ほかの女の子に会うことはやめられなかった…どうでもいい話だけど…過去に親友と好きだった子を一気に失った感覚に陥ったことがあって…それは嘘だったのに、俺は最低で…もうこんな思いはしたくないってそればっかり考えるようになって、気がつけばいろんなところに居場所をつくらないと安心できなくなって…」


その言葉に。


あたしの目には涙が戻ってくる。


「凛夏のことだけ守るなんてかっこいいこと言えないダメな俺で…最後まで傷つけてばっかりで…本当にごめんね」


切なく笑った駿は、あたしを優しく抱きしめた。