愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
パパとパパの対決なのです!




そして、次の日…
私は約束の場所に向かった。
今日は絶対に泣かないって心に誓って。



初恋は結ばれないって、本当だね。
でも…深入りする前で、まだ良かった。
そうだよ…ものは考えようなんだ。
早くに気付けて良かったって…そう思うことにしよう。



待ち合わせの場所に着いて10分程が経った頃…いつものように変装したリクさんがやって来た。



「おはよう!」

リクさんは何も知らずに、いつもと同じように私に近付き、私の手を取った。
私はその手をふりほどく。



「どうかしたのか?」

リクさんが驚いたような顔をして…
私が、リクさんをにらみつけたその時…



「望結!」

名前を呼ばれて振り向くと、そこには瑠威がいた。



「る、瑠威!?」

「瑠威さん!」

「はぁ?なんで俺の名前を……あれ?
おまえ、もしかして…リク…?」

「は、はい!」

リクさんはサングラスとマスクを外した。



「なんでおまえが…望結、どういうことなんだ!」

瑠威は、私の腕をきつく掴んだ。



「乱暴なことはやめて下さい!瑠威さんこそ、どうしてこんな所に…」



どうして瑠威がここに!?
まずいよ、どうすれば良い?



(あ……)



その時、私はあることを思い付いた。



「ごめんなさい!リクさん。
私…実は瑠威と付き合ってるんです。」

私は瑠威を利用しようと思ったんだ。
そういえば、リクさんは私にふられた形になる…
それは仕返しのような気持ちだった。

私はリクさんに見られないように瑠威に目配せをした。
なのに、瑠威はそれに気付かなかったのか…



「は?何言ってんだ?
そんなことで誤魔化されないぞ。
ちゃんと説明しろ!なぜ、リクと会ってる?しかも、部活だなんて嘘吐いて…
こないだ、さゆみちゃんに部活のことを話したらおかしな顔をしてた。
どうもおかしいと思って見に来たら…
望結!黙ってないで説明しろ!」

瑠威の馬鹿。
瑠威は私の計画を台無しにした。
そればかりか、すごく怖い顔をして私に掴みかかる。



「瑠威さん!乱暴なことはしないで下さいってば!とりあえず、こんな所じゃ、落ち着いて話も出来ないでしょう?どこか静かな所で…」

「あぁ、わかった。それなら…望結、行くぞ!」

私は瑠威にひきずられるようにして手を引かれ、リクさんはその後に続いた。
瑠威が向かったのはタクシー乗り場だった。
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