愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「泣いて誤魔化すんじゃない!」

「やめて下さい!
だいたい瑠威さん何なんです?なんの権限があって、望結にそんなに偉そうにするんですか。」

「そんなことはおまえに関係ない!」

「そうはいきません。あなたがこれ以上、望結に酷い態度を取るなら、俺だって黙っちゃいませんよ。」

「ほう…面白いな。俺とやるって言うのか。」

瑠威は拳の関節をぽきぽきと鳴らして、リクさんを威嚇した。



「やめて、瑠威。私が悪いの。私が瑠威の言うことを聞かなかったから。
でも、リクさんとはもう二度と会わない。今日ははっきりとそのことを伝えようって思って来たんだよ。」

「望結…何、言ってんだ?
なんで俺達が別れなきゃいけないんだ?
それに、なんで、瑠威さんにそんなに気を遣う?」

私と瑠威は思わず顔を見合わせた。
そうだよ…瑠威と私の関係は、シュバルツのメンバーとさゆみ以外には秘密だよ。
だから、リクさんにだって答えられない。



「やっぱり望結と二人で話すべきだった。望結…帰るぞ。」

瑠威は立ち上がり、私もそれに倣った。



「待って下さい。なんで二人で話すんです。俺だって聞きたいことはある!」

リクさんは私の腕をがっしりと掴む。



「望結に触るな!」

「あんたこそ!」

瑠威とリクさんは、顔を突き合わせて、今にも喧嘩しそうな雰囲気…
怖いよ…どうしよう…!?



「おいおい。人ん家で喧嘩は勘弁してくれよ。」

そこに現れたのは白いガウンを羽織ったクロウさんだった。
なんだか、絵に描いたようなセレブ感だね…



「とにかくみんな座ってよ。」



クロウさんに言われるままに、私達は再びふかふかのソファーに腰かけた。


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