愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
「キラさーん!ハルさーん!」


まだどうするかは決まってないけど、とりあえず、私はさゆみについてキラさん達のところまで走った。



「いつも本当にどうもありがとうございます!」

キラさんの席の隣と、そのもうひとつ隣の椅子の上には、荷物が置いてあった。
私とさゆみの分の席だ。
なんかいつもお世話になってて申し訳ないな…



「そんなこと、気にしなくて良いよ。
真ん中は取れなかったけど、キースやオルガに近いから、璃愛には良かったよね。」

「は、はい、ありがとうございます。」

私やっぱりキースさんのファンにされてる…ま、いっか。
キースさん、面白いし、優しいし。



「ところで…何か、飲み物もらってきましょうか?」

「そう?悪いね。
じゃあ、私はジンジャー、ハルはウーロン茶で良い?」

「うん、いいよ。」

「じゃあ、行って来ます。璃愛、行くよ。」



ホールの片隅に、食べ物や飲み物、出演バンドのCDや生写真などを売ってるコーナーがあった。



「あ!璃愛!あれ!」

さゆみが指さした先には、シュバルツのマネージャーの小西さんがいた。
小西さんは、気配にでも気付いたのかゆっくりと振り向き、私と目が合うと一瞬戸惑ったような顔をして、会釈してくれた。



「小西さん!」

さゆみは声をかけると、小西さんの傍に駆け寄り、私もその後に続いた。


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