人間嫌いの小説家の嘘と本当

櫻井は窓に近づきカーテンを少し開くと、しばらく前から降り始めた雨に視線を走らせる。
それにつられるように、俺も雨が激しく打ち付けられる窓へ視線を移す。

アイツが遅くなることくらい、普段なら気にすることはないのに、今日に限っては何故だか胸がざわつく。

嫌な予感がする。

良くないことが起きているようで、執筆に集中しようにも出来ない。

蒼井。
何処で油売ってんだよ、早く帰ってこい――。

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