人間嫌いの小説家の嘘と本当

私の部屋は、元々侑李がセカンドルームとして使っていたもので、ボディガードという役職には都合がいい部屋でもある。
だけど"女"としては、落ち着かない。

だって鍵もないし、今日のように侑李が勝手に部屋に入ってくるし、いつどんな時に彼が現れるか分からないから、気が気じゃない。

だけどボディガードという職もあり、尚且つここに住み込みで居させてもらえるんだから、贅沢なんて言えるはずもない。

侑李の住む家は、街からは少し離れた静かな場所にある。
スタイリッシュなコンクリート打ちっぱなしの外観で、三階建て。
しかも人を拒否するように、家の周りは高い壁で覆われていて、外からは中の様子が一切分からないようになっている。

もちろんセキュリティーも万全。
何かあれば、二十四時間の態勢でセキュリティ会社と連絡が取れるようになっているらしい。

この家は、侑李と執事の櫻井さんの二人暮らし。
よくは知らないけれど部屋数は結構あるのに、“人間嫌い”と言われるだけあって殆ど人を入れることが無い。
それ故に、ほとんど使われることはないと聞いた。

実に勿体ない――。

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