白衣とエプロン　恋は診療時間外に
ここの女性たちにとって、男性ドクターは格好の話題のネタらしい。

また、人によってはターゲット……理想の恋人候補でもあるようだ。

まあ、私には関係ないけど。

王子様のような貴志先生も、ちょっと童顔で可愛い桑野先生も、勤務先のドクターでしかない。

もちろん、保坂先生も。

だけど――。

「あーん、保坂先生だとやる気でないわぁ」

こういう言い方はどうかと思う。

“隠れ”とはいえ“保坂押し（？）”の私としてはおもしろくない。

それに、同じスタッフとしても気分が悪い。

だいたい、患者さんにも失礼だ。

私は冷やかに言った。

「だったら、楽したらいいんじゃないですか。保坂先生は気になさらないですよ」

あなたのやる気のないサポートなんて要らないでしょ、と。

むしろ、いい加減な仕事をされるならいないほうがましですよ、という嫌味をこめて。

でも――。

「そうね。保坂先生だと患者さんも少なそうだし。楽しちゃおうっと！」

私の嫌味はやっぱりまたもや通じなかったらしい……。

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