短編集『芸術家、ボコられる。』

限りなく、会議は長引く。(5)

ダンテ「ヤマーシィ、本気なのか?」

ヤマーシィ「あぁ、ホントだ」

ダンテ「ツゴペル、何処に居たんだ」

ヤマーシィ「向かいのアパートだ」

ダンテ「向かいのアパートぉ??マジか、マジで言うてんのか」

ヤマーシィ「灯台もと暗したぁ、このこった」

ダンテ「俺たちのオヤジを殺した真犯人が、まさか、こんな近くに棲息してるとはな、どうする、今すぐ殺りにいくか?」

ヤマーシィ「まあ待て。俺に考えがある。」

ダンテ「なんだ、考え方って。考え方なんて、どうでもいい!!俺はな、ツゴペルの野郎を散々になぶり殺しにしてやりたいんだ」

ヤマーシィ「暴力はいかん。暴力は」

ダンテ「は?!!お前なに言ってんだ。何のためにこの30年間、定職にも就かず、ツゴペルのアジトを探索し続けたと思ってんだ。ふざけんな。いい加減にしろ」

ヤマーシィ「時代は平成。もう、血生臭い昭和の時代は終わったのだ。ここは、ひとつ、平和りに解決といこうじゃないか」

ダンテ「お前なに言ってんだよっ」

ヤマーシィ「ケーキ職人を呼んである。この町一番、と評判のな、入ってくれ、斎藤」

カチャ

ドアが開き、斎藤が入ってくる。

斎藤「失礼します」

ダンテ「誰なんだよっ」

ヤマーシィ「今説明した」

ダンテ「ケーキ職人だろ?」

ヤマーシィ「分かってんじゃないか、なんで聞いた」

ダンテ「だから、この状況がおかしいだろって」

斎藤「パテシエです」

ダンテ「お前黙ってろっ」

ヤマーシィ「おい、この町一番なんだぞ、無礼な扱いすんなっ」

ダンテ「なんで、仇討ちなのに、ケーキ職人なんか、呼んでんだよっ」

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