愛を教えてくれたのは若頭
再婚してから、小さい卓也に付きっきりになるのかと思えば
裕也を優先にしていた
卓也は無条件に母に寄り添うが
優先はそうはいかない
だから母から寄り添ったのだろう
私にかける愛情をすべて
裕也にかけたのかもしれない
それが今となって、
“異常”と決めつけたわけか…
「別に塾とか、いい高校に入るなんていいんだ。俺も望んでる」
けど…、と言いかけた時
裕也を呼ぶ声が電話越しに聞こえた
……母だ
母が迎えに来たなら
電話は終わりだ
もう話を聞くことはない、と
ソファから立ち上がろうとした
「弟、話せ」
晃さんは会話を続けようとした
何を考えているか、さっぱりわからない
私に聞けと、私の腕を掴んでいる
逃げる、そういう意味だろう