愛を教えてくれたのは若頭


嘘であって欲しいと願う男は
次の日、湯川を問い詰めたという
湯川はマミが男の妹だと知っていたという


「マミの腹の子は…部長ですか?」


部長が既婚者だと言うのは
誰もが知っている事だ
だから否定して欲しかったが
湯川は今まで見た事ない笑みを浮かべた


「あいつは俺の言う事なら何でも聞く、俺しか知らないからな。可愛くてしかたがない…別れて欲しいのか?」


別れて欲しいに決まっている
後になって気がついた事だが
まんまと湯川の策にハマっていたんだ



「湯川部長は君と接触する駒を探していただけだったようだ…。湯川部長に言われたんだ、マミと別れる代わりに君を捕まえて欲しい、と…」


男の言葉に絶句する
あの男は自分の欲のために
平気で部下を裏切り、部下の妹を妊娠させ、いいように使っていたなんて…
ふつふつと怒りがこみ上げてきた

その時ー

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