よく晴れた空に

惚れると離したくなくなる

何となくわかっていた


お福が思い詰めているのは

会いたいだけじゃないって




「そうか」





お福の頬を流れる涙を

手で拭う





そして、口づけをした





「しょっぺぇ」


「クスクス 塩加減は得意なんでしょ?」






よくこんなしょっぺぇ握り飯を食ったな

眉をひそめ、空になった皿を見る



「美味しかったですよ」

「いいって」

「本当ですよ」

「気をつかうな」

「つかってないですよ」

「いいから!茶を飲んどけ!」




お福が茶を飲んだことを確認して

もう一度、口づけをした




「お福…兄の事は、俺たちに任せてくれ」


「そういう訳にはいかないんですよ」


「頼れねえのか?」


「頼ってますよ
だけど、兄のことは私にしか出来ないことだと思ってますから」


「なら、手伝いくらいさせろ」


「はい…」






俺とお福は、恋仲になった





これから何があっても



ずっと一緒だと




思っていた






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