よく晴れた空に

信じると裏切られる

朝餉の為、広間に向かう途中

雪の積もった庭をじーっと眺めるお福を見つけた


「飯は?」

「味見で、お腹いっぱいです」

「ちゃんと食べないと、倒れるぞ?」

「はい」 


松平様が来て以来

気持ちが落ち込んでいる

仕事はしているが

ここのところ、情報収集に出かけてない



「御飯が冷めちゃう 食べてきて!」







食後 幹部会議をすることになっていた



「私もいいですか?」



珍しくお福が入ってきた



まぁ 会議と言っても

雑談だ


近況を話し合ったりするくらい





ひとしきり話すと、年長の井上源三郎が

人と会う約束があるからと抜けた





そして、パタパタと廊下を小走りする音と
共に、俺の許可なしに、襖が開いた




「え?」「は?」「うぇ?」「へ?」


「「「えええーーーーー?????」」」




「はっはっはっ 福、こんな奴らといて
大丈夫か?
俺とお前の区別もつかず
普通に会議に参加させてくれた」


瓜二つ


全く同じ顔



ここまで似るものか?



「新選組に関わらないで!!」



兄がゆるりと立ち

お福のそばに行く


「お前は、馬鹿ほど人を信じる
だから、裏切られる
……春獄が京にいるようだな」


「会ったわ」


「気をつけろ」


「え?」


「誰も信じるな」


「兄様?」


「普通の暮らしなど望むな
お前は、俺のようになってはならん
恋仲らしいアイツも、俺とお前の区別が
つかない
お前が思っているほど、新選組は
お前を思っていない
……頭のいいお前なら、わかるだろう?」


目をパチパチさせているお福を

そっと抱きしめ


「俺と一緒にこい
少し考えて、答えを出せ」



お福を放し、ニコリと同じ顔で笑い




屯所の壁をヒラリと越えて行った








< 43 / 87 >

この作品をシェア

pagetop