みかんいろ
「おーい。みかーん、どこいるんだー?」
それから度々あの男の子がわたしのところへやってきました。わたしは、4歳の時王宮で、草むしりのお手伝いをしていたので、彼がやってくるんです。はっきり言っておそうじの邪魔でしたがほっています。
「あのさー。なんで、みかんなのー?それと・・・あなたは、名前なんていうの?」
彼は塀を登って私の横に来ました。
「みかんみたいな髪の毛だからだ!」
彼はニコッと笑ってわたしの心を和ませてくれました。
「で、名前なんなの?」
いつも聞くのですが教えてくれない・・・目の力を使って読もうとするのですが何故か彼はわからない・・・。
「教えない!お前がいつか目の力で自分で読んでみろー。」
「えー。じゃあ、せめてなんて呼べばいいの?」
彼はうーんと、悩んでから
「じゃあ、テルって呼んで!」
「て、テル?」
「うん!俺とみかんの約束な!俺のことはテルって呼ぶ!みかんはみかんな!」
テルはいつも元気でした。そんな彼がわたしは好きでした。
< 7 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop