世界で一番、愛してる。
「あ!おねーちゃん!」

「華夏!」

「兄ちゃん、お医者さんとお話してる」

「柊希…お仕事だったのにごめんね。」

「姉ちゃんも修学旅行だっただろ?」

「修学旅行というか、状況報告行ってきたよ」

「父さんのとこ?」

「うん。あれ?楓雪は?」

「ずっと泣いてる」

「お母さんは?!」

「今集中治療室にいるよ。」

「もう無理だろうって話だよ」

「春樹お兄ちゃん…」

「もうずっと昔から覚悟してきたことだっただろ?泣くなよ。楓雪」

「楓雪。大丈夫?」

「姉ちゃん…」

「これからのこと、本気の話。しようか」

「あ、悠…ごめん。ちょっと話し合い長くなるかも…」

「俺の存在忘れてただろ?笑」

「そんなことないよ?」

「俺は適当に時間潰すわ笑」

「ごめんね。」

「謝んなって。美優と尚央に電話してくるな。」

「行ってらっしゃい!」

「里葉〜?華夏がぐずってるんだけど…」

「あー、はいはい!今行くね」

「華夏〜。大丈夫だよ。おいで」

両手を広げると華夏はおとなしく近寄ってきた。それをぎゅっと抱きしめてだっこすると、春樹の方へ歩き出した。

「みんなアイスココアたけどいいか?」

「うん!」

「おう。」

「春兄ありがと」

「いえいえ。」

「じゃあ、これからの話、しよっか」

「まず、父さんが残してくれた遺産が残り2億。母さんが残してくれるのは8億。
里葉の毎月の収入が100万。俺は120万。
楓雪は90万。柊希も90万。華夏がこれから頑張ってくれれば生計は立てられる。」

「全然問題なさそうだね。」

「ただね。華夏がこれからお母さんが必要になってくると思うの。」

「うん…」

「仮に私がお母さんになったとしても父親がいないの」

華夏は今私の腕の中で眠っている。

「楓雪も柊希も学校だってあるし、お仕事だってある。」

「お兄ちゃんだって、お仕事忙しくて帰ってこれない日もあると思うの」

「あぁ…」

「私ね、今来てる映画のオファー5つあるんだけど、すべて断ることにしたの。」

「姉ちゃん…なんで?」

「私が映画の撮影に集中してしまったら、華夏はひとりになってしまうでしょう?」

「だったら保育園に…」

「そしたら華夏は孤独でいることを覚えてしまう。そんなのかわいそうだよ」

「まぁ確かにそうだな」

「だから、私、神崎咲姫をやめようって思ってるの」

「それはダメだ。」

「分かってるよ。でも、華夏が孤独になるくらいだったら私は芸能界だってやめれるよ」

「やめないでくれよ?」

「今のところはやめない。だけど。」

「俺は…っ!姉ちゃんみたいに強くない…!」

「柊希…」

「母さんは十分頑張ってくれた。次は俺らが恩返しするべきだ」

バタバタバタバタバタバタ

「あ!いた!神崎さん!お母様の様子が!」

「行こう!」

「華夏。行くよ。
きっともう最後だ…」

「春樹お兄ちゃん!早く!」

「あぁ!」
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