これも恋と呼んでいいのか
店の電話が鳴った。
琉ヶ嵜が受話器を取る。
「は、はい」
「お嬢さんをお探しですか?」
聞き覚えのある声だ。
「えっ!?」
「うちにいらっしゃいますが、どうなさいます?」
「どう、とは…意味がわかりません。…どちら様ですか?」
「先日、本をお願いした者です」
あの紳士だ。
「あ、あの方ですか?本はありましたが」
「知ってました。あれはもう結構です。私は今から好きなだけ彼女と話ができる…」
静かに言うと、プツッと切れた。
「えっ!?もしもし!?も…」
受話器を持ったまま呆然とする琉ヶ嵜。
「マジか…どうなってんだ…」
「…何か、あったんすか?」
業平が、恐る恐る。
「……久我が、拉致られた…」
「ええっ!?」