これも恋と呼んでいいのか


結局、瓜生には猶予を与えた。
今後は、あくまで友人として接していいと。


実際のところ実害もないし、売り上げに貢献しようとしてくれたのも事実だ。


が、今度、何かあったらそのときは確実に、前科ありとして警察に突き出す、ということで収まった。


――翌日の夕方。
朝から休み休みで交代で運転し、6時間かけて橋を渡って四国に着いた。地続きになり今は便利になった。


店を休んで、琉ヶ嵜の車で靖美の実家に来た琉ヶ嵜と業平。
大型の四輪駆動車だった。


どのみち世間も大型連休で、荷物の入らないタイミングだったので、ある意味ちょうどよかった。


「心配かけて、ごめんなさい!!」


みんなの前で頭を下げた靖美。


「ご迷惑お掛けしました。私の力不足で」


店長として、きちんと正座して謝った琉ヶ嵜。


「あらいやだ、てっきり結婚の挨拶かと思いましたよ」


「はっ!?」


「娘は、やらんぞ」


「お父さんたらもう、そればっかり。結局、誰でも嫌なんでしょう??」


ふん、とそっぽを向く。


「そ、そんなんじゃないから!!お友だちっていうか、職場の人たちだから」


耳まで赤くなり否定する靖美。


「彼女がよければ、それでも…」


口が勝手に動き、ハッとなる琉ヶ嵜。


「言った!!」


業平が喜ぶ。


「あっ、いや、これは…」


思わず靖美と目が合う。慌てて目を反らす。



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