永遠dream
  ひとつ、ため息をこぼす。

そのため息は風の中に溶けていった。

「本当に…………終わったんだな。」

そして、さっきの出来事を反芻する。

…………やばい。泣きそう…………
ここ、学校なのに…………

ふと、頭の中にレイの顔が浮かぶ。

『助けて欲しい時だけ呼んで?』

今はどうしてもひとりになりたくなかった。

レイに会いたい。

…………どうやって?

泣きながら校舎を歩き回るのはごめんだ。

そうだ…………

私は近くにあった細長い葉を一枚ちぎった。
そしてその葉を自分の指先にあてて、滑らせる。

その指はじわりと赤くなり、やがて血が出てきた。

それを見ていると、地面を踏む音が聞こえた。

足音だけでわかる。

「レイ…………。」

 「…………手、見せろ。」

レイは、そう言って私の手をとると、指を握って傷を治してくれた。

「来てくれないかと思った。」

朝、私はレイを傷つけた。
守ってくれようとしたレイの気持ちを踏みにじった。

それなのに…………

 「馬鹿、来ないわけないだろ。」

そんな優しい言葉かけないでよ。

涙が…………止まらなくなるから。

次から次に落ちる涙を隠すように、私はレイの胸に顔をうずめた。

レイは、そんな私に手をまわすと理由も聞かずに抱きしめてくれる。


私はその温もりを感じながら、たくさん泣いた。
< 68 / 200 >

この作品をシェア

pagetop