君に会えたら伝えたい事がある。
とうとう観念したという様におじさん達は英語でアルベルトとハナに謝ると観衆の間を裂く様に歩き出しバーを出て行こうとした。そのときおじさんが何かを小声でポツリと言ったのをアルベルトは聞き逃さなかった。一瞬の出来事だった。ハナの抑えていた腕を振り払いアルベルトは背の高い男の右肩に後ろから手をかけた。男はアルベルトのかけた手の勢いでアルベルトの方へ振り返る。すると今度はアルベルトが男の肝臓ふきんを3回ほど思いっきり殴った。おじさんが倒れると同時に今度はハナが息切れしているアルベルトの右手を掴むと、そのまま走り去る様に群衆をかき分け、下に二人で降りて行った。僕も何故かあの二人を追って走って下に降りた。見失ったけれども、きっと出口に向かうと思ったので僕は出口の方へ走った。すると丁度、出口からあわてて出て行く二人がいた。僕も二人を追って外に出る。外に出ると二人は建物の裏側にいた。二人とも息切れしていて、アルベルトの方はまだ興奮が止まっていない。そのまま二人は何も言わずにお互い向かい合っていた。アルベルトの方が先に僕に気がついた。