君じゃなきゃ
いつまでもここに居るわけにもいかないから、俺は真沙の華奢な肩を優しくゆすった。

「おい、真沙。起きろよ。帰るぞー。」

「…………。」

「真沙、起きろ。帰る。」

そう言って俺は少し強く真沙の肩をゆすった。

「……あー。……やばい、寝てた、あたし……。」

とろんとした目でこっちを見る真沙。
おいおい、その目は反則だろー。
いつも見ない色気のある顔にドキッとした。

「真沙、歩けるか?」
「……あっ、うん……。ごめん、ごめん、大丈夫だからー。」

そう言うとフラフラした足取りで一人歩いて店の外へ出ていった。
俺もマスターにお礼を言ってから慌てて店の外へ出た。

店の外に出ると、店先に置いてあるベンチになだれこむように横になっている真沙がいた。

おいおい!スカートがめくれてるぞー!

真沙の白くてすらりとした脚が太股まで見えていた。

俺は普段見ない真沙の色っぽい姿にドキドキしたが、人目もあるし俺はジャケットを脱いで真沙の脚にかけた。

すぐ横に自販機があったから水を買った。

「おい、真沙。水飲めるか?」

「……あ、うん、……飲む……。ありがと。」

俺はしゃがんで真沙の肩を両手で抱くようにして起こした。

真沙は顔をゆっくり上げて深呼吸をした。
潤んだ目、少し赤みがかった頬、息を吸うために開けている口元。
そして、何とも言えない色っぽいため息……。

俺は気がついたら真沙の唇を奪っていた。
初めは軽く押し付けるだけのキスだったが、俺は理性を押さえきれなく強く真沙の唇を啄んだ。強引に舌を入れようとしたその時……。

ガツン!!

「痛ってー!!」

真沙にペットボトルで頭を殴られた!

「……拓海!何してるんだー!やめて。」
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