強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
昼休みも終え、私達はオフィスへと戻った。
桐島部長は私達よりも先にお昼を済ませ、もう席に着いていた。


パソコンに向かう姿も様になっている。


桐島部長はこの春転勤して来たばかり。
周りから冷酷、非情と言われているけど、赴任して来た時から私は気付いてた。


部長の指摘は、厳しいけど、的確。


ミスをすれば容赦なく怒鳴り叱られるが、それは当たり前のことで。
それがただ皆の前だと言うことが、周りから冷酷だ、非情だと言われることになっているだけ。


前任の部長は人前で声を荒げるような人ではなかった。
だから、余計に皆がそう思うのかも知れない。



「深月。」
「はい。」
「第一会議室にお茶を頼めるか?」
「何名ですか?」
「お前も入れて、5だ。」
「私も参加ですか?」
「あぁ、いい機会だ。営業職に慣れろ。」



今まで私は営業アシスタントとして働いて来た。
営業に配属された女性社員のほとんどがアシスタント。
営業に就いてる女性社員は一握りだ。


こんなことでも、部長は凄いと思う。
今から私が会うクライアントは、昨日、私が見積もりを間違えたあの会社だ。


そこに私を付けて挽回させようとしている。


他人に厳しい分、フォローの手を尽くすことを惜しまないことが、この半年でよくわかった。

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