強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
昼休憩、美味しいと評判の社食に碧ちゃんと向かう。
社員で賑わう社食の窓際、内緒話には最適なスペースが空いていた。


食事を乗せたお盆を机に滑り込ませ、二人でそこに座る。
座ったと同時に、食事に手を付ける前に、碧ちゃんが言った。


「で、その奏汰さんとの関係を教えてくださいよぉ。」
「ほんとに幼馴染なんだって。」
「それだけですかぁ?」


箸を持ち、一口食べるその姿はほんとに可愛い。
話し方といい、食べ方といい、碧ちゃんは女の子だ。


「凄いですね、幼馴染ってことは27歳でしょ?あの車、自分のなんですか?」
「そうよ。奏汰は小さいながらに会社の社長だから。」
「え―――――!社長なんですかぁ―――――!」
「声、大きいよ、碧ちゃん。」


驚き方も可愛い碧ちゃんに、少しは見習わなければと思った。


「何の会社なんですか?」
「今、流行りのITよ。ネットビジネスってやつかな?ごめん、よく知らないの。」
「あんなイケメン社長が近くに居るのに、気にならないんですか?」
「産まれた時から一緒だからね。」
「そうなんだ!あんなイケメンと産まれた時から一緒だなんて、羨ましい~。」


不意に視線を感じた。
碧ちゃんの左斜め奥。
その射抜くような瞳で私を見ているその人を見つけた。


「どうしたんですか?楓さん?」
「え?何でもないよ。」


桐島部長から視線を外し、目の前の食事に手をつける。
見られていると思うと、緊張する。
いつからそこにいたんだろう?
どこから話を聞かれていたんだろう?


部長がそこに居るとわかったその瞬間から、私の口は鉛のように重くなった。


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