強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
二人で揃って帰路を歩く。
駅までの道は誰が見ているかわかならいので、凌さんの少し後ろを歩く。
その背中に、今にも手を伸ばしたくなる。


凌さんが居なかった間、私に何があったのか?
言いたい気持ちを抑え、心配を掛けてはいけないと、口を噤む。


ゆっくりとその背中を見詰めていれば、またもや私の中に湧き出したドス黒い何かが、蠢き出した。


その大きな背中に、麗奈さんは寄り添ったんだろうか?


私の知らない凌さん。
麗奈さんが知っていて、私が知らない凌さん。
それは私が考えているよりも、何倍も何倍もの量があるのだと思い知らされることになる。



「・・ぇで。・・・えで。・・・楓っ!!」
「えっ?あ、呼びましたか?」
「何度も呼んでる?どうした?何かあったか?」
「いえ・・・何も・・・」


私の中のドス黒いものは、私の意識も遠退かせるらしい。


「何もない、と言う顔はしてないが?」


そう言われ、自分はどんな顔をしていたんだろうと俯いてしまう。


「何かあるなら、はっきり言え。」
「いえ、ほんとに何もないんです・・・」


本当のことが言えなかった。


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