翼をなくした天使達


「お前はみんなの関心の中に居すぎただけだ。
俺は誰からも関心がないから楽だぜ」

慰めてくれてるのかなんなのか。

「………関心がないのに助けたんだ」

今考えてもなんで蒼井が私の事を助けようとしたのか分からない。本人は条件反射だって軽く言ってたけど。

「俺じゃなくて周りがって話だ。バカ。でも助けたのはとっさの事で俺もなんでかわかんねぇけど、まぁ目の前で誰かが飛び降りれば誰だって助けようとすんじゃね?」

……そういうものなの?
私だったら絶対驚きの方が勝って手も足も出なそうだけど。


「いつもひとりで寂しくないの?」

「ひとりでいるから寂しくねーんだよ。誰かといる事覚えるからそんな風に思うんだろ」

蒼井の感覚は的を得ているのかズレてるのかよく分からない。

私もひとりの方が楽だって思うけど学校という空間で孤独は耐えられるものじゃない。

男と女の違い?本当に蒼井は寂しいって感じた事ないのかな?

「あ、蒼井は……」
「じゃ俺こっちだから」

「え…あ、う、うん…」

結局何も聞けないまま蒼井とはそこで別れた。


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