翼をなくした天使達

●変わらないもの





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



その日の放課後、下校していく生徒の波に私はいた。

1年前、保坂幸成はなんで蒼井を犯人にしたんだろう?気に食わないっていっても接点はないだろうし、たまたま犯人役が蒼井だったって事?

それに今回の事だって保坂は卒業してるのにわざわざ不良達の手を借りて同じ事をした。お金に困ってたとか?それともストレス発散?

どっちにしても同じ事が起きたら前回の犯人が疑われる事は確実で、それってまた蒼井を犯人にしたかったって事だよね?

なんでそこまで…………

「さようなら」
「気を付けて帰るんだぞ」

今日の現実指導はやけに多い。

事件があったからなのか普段は二人しか居ないのに校長まで校門に立ってるし。

こんな下校指導なんていいから早く真実を明らかにして欲しい。じゃないとまた蒼井が犯人になっちゃう。

すると、ちょっと生徒の歩く速さが遅くなってそれと同時にザワザワっとしてるのを感じ取った。

「あれ、保坂君じゃないか!」

校長がまるで孫に会ったかのような顔をした。

「ねぇあれって去年の生徒会長じゃん」
「本当だ!確かすごい大学に行ったんだよね?」
「あの人将来有名人になりそうだよね」
「ノーベル賞的な?連絡先聞くチャンスじゃね
?」

学校始まって以来の秀才は卒業しても健在みたいで、保坂の周りには人が集まり始めていた。


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