歌で想いを…

その日の夜も、恋の家に竜也が来ていた。

「恋、俺らの発表のやつ…どうする?」

「あぁ…オリジナルでいいよ

作詞、作曲は俺がやるから…それができたら振り付けとかを二人で決めていけばいいんじゃないか?」

「了ー解

じゃあ、早速始めるか」

「まずは、作詞からか

テーマが…夏ってことらしいから…」

恋は紙とペンを持つと、色々と書き出した。












「なぁ、竜」

「ん?
どうした?」

恋は、ふとペンを止め、竜也に話しかけた。

「俺、始めて練習に参加した日…アイツの言葉をまだ引きずっていたんだ。

そんな俺が…大会のソロなんて大役を引き受けても良かったのかな?」


「………
少なくとも、中尾先生や部員たちはお前に感謝してるだろ」

「そりゃ、引き受けたのは自分だし…やるからにはちゃんと結果だしたいさ。

でも…」

「結果を出す、出さない。じゃなくてさ

単純に楽しめばいいんじゃないか?」

「楽しむ?」

「そ。
確かに結果は大事だけど、先生も当時言ってたろ?

大会って思うから緊張して、ミスとかを起こすんだ。
だから、ただ歌うこと踊ることを楽しめ!

ってさ」

「歌うことを楽しむ…か

確かに、そうだな。いつのまにか忘れてたみたいだ

歌うことの楽しさを」


「思い出せて良かったな

これで、少しは楽になればいいんだけど」

「あぁ。

サンキューな、竜」

「おぅ」

















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