リリー・ソング
この人も明らかにさっきよりテンションが高い。
「あの、朝比奈さん、私…」
「いやもう紺って呼んでよ、水臭いな! あっ、マネージャーさんですか? どうも初めまして、Glintishの朝比奈紺です。」
だけど傍らの榎木さんに気づいて、しっかり挨拶している。
「初めまして、榎木と申します。美山深夜のマネージャーもしております。この度は…」
「ああ、美山さんの! よろしくお願いします、俺本当に楽しみで。あ、よかったら、映画のほうの親睦会にいらっしゃってください、美山さんとリリーさんも一緒に。」
榎木さんの名刺を受け取り、朝比奈さんが怒涛の勢いで喋る。
「で、あの俺、リリーさんの連絡先とか聞いちゃってもいいっすか、榎木さん的には?」
「は? ええまあ健全なお友達付き合いでしたら…」
「あ、やっぱ恋愛禁止すか、ですよね、天下のLilyですもんね!」
「いや、むしろ恋愛NGはそちら…」
「いいんです! とりあえずほらリリー、携帯出して!」
「あ、はい…」
「ちなみに、今夜メンバーとスタッフで飲みに行きますけど、どうすか、よければ榎木さんも。」
「あー、いえ、今夜は…」
「わっかりました、じゃあまた連絡するねリリー、お疲れ! 美山さんによろしく!」
まくし立てるだけまくし立てて、朝比奈さんは突風のように去っていった。
「………」
私は携帯を手にしたまま呆然としてそれを見送り、榎木さんでさえもちょっと言葉を失っている。