ばくだん凛ちゃん
私が入院してから透は水、土の診察を休診している。
3診制になってその辺りはかなりの融通が利くらしい。
月火木金のうち月火金は凛を一時保育に預けて、木曜は比較的ヒマだという真由ちゃんに預かって貰っている。

…本当に申し訳なく思う。



今日は木曜。
時計を見ると、午後5時前。
そろそろ来るはず。



- コンコンコン -

来た!

「はい、凛ちゃん〜
お母さんですよ〜!」

真由ちゃんに抱っこされた凛は足をバタバタさせてこちらを見ている。

「ありがとう、真由ちゃん」

ベッドを起こしてお礼を言うと真由ちゃんは笑って

「こちらこそ、久しぶりに赤ちゃんのお世話が出来て嬉しい」

本当に嬉しそうな顔をするのでついつい甘えてしまう。

「私ね、透君には本当にお世話になったから少しでもお返ししたいの。
だから遠慮しないでね」

真由ちゃんの裏表のない笑顔。
本当にただただありがとうとしか言えない。

「凛ちゃん、人見知りが酷いって聞いていたから警戒していたけど、そうでもなかったから良かった」

凛は何故か真由ちゃんなら大丈夫みたいでいつもご機嫌だ。

「もう、入院中、ウチでずっと預かろうか?
遊んでくれる高校生もいるしね」

真由ちゃんの下の息子さんたちは高校生。
結構、凛と遊んでくれているらしい。

「それくらい、可愛い!
また大きくなったらいつでも泊まりにおいでね」

真由ちゃんにギュッとされて凛は嬉しそうな声を上げていた。



…嫉妬。



凛はお母さんよりもお父さんや真由ちゃんの方が良いのか。
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