ばくだん凛ちゃん
凛はしばらくするとハルの腕の中で寝てしまった。

気持ち良さそう!

こんな寝顔、ずっと見ていても飽きないな。
思わず頬を触った。

「ベッドに連れて行こう」

僕が言うとハルは頷いて立ち上がった。
今日の眠りならしばらくは起きないはず。

そっとベビーベッドに下ろしても凛は起きる気配もない。
よしよし、少しは凛も空気を読むようになってきた…と思いたい。

僕はハルの手を取り、抱き寄せる。
ハルの目がキラキラと輝いたように見えた。
少し前まで、僕達の間に隙間を作っていたお腹はほぼ元通り。
ハルは僕の腕の中にすっぽりと収まった。
そのままベッドへ。
久しぶりの感触に少し違和感を感じ、お互い顔を見合わせて笑ってしまった。

「何だか不思議な気分」

ハルがニコッと笑った。

「そうだね」

そう言って僕はハルをきつく抱き締める。
ハルの体温が服の上からも少し感じる。

「…透」

凛とそっくりなクリクリとした目で僕を見つめる。

「透に凛の1ヶ月健診をして貰って良かった」

思いもしない事を言われて僕は目を丸くする。

「…この先、凛が病気になっても透が診るとは限らないでしょ?
それに私、小児科医としての透の仕事ぶりを一度も見た事がないから」

あ…そうだね。
ハルがあの救急に運ばれた時は僕、小児科が手隙で内科の応援に入っていたから。

「ちゃんとした小児科医だった」

ハルが笑いながら言うので

「ハルの中では僕、ふざけた小児科医なの?」

と少し拗ねてみる。

「そんな事、一言も言ってないよ」

ハルから僕の唇にキスをしてきた。
あ、挑発か!

「ハル、そんな事をしたら僕、暴走するよ?」

しばらくキスを堪能した後、ハルの上に体を起こして上からハルを見つめる。

「ちょっとからかってみた」

ハルは舌を出して笑っている。

「…ハル、きっと後で後悔するよ?」

僕はハルの手首を少し力を入れて押さえ付けた。

「昼間のお返し。
人前であんな事を言うから…」

そんな艶っぽい目をして言わないでくれる?
本当に…止められなくなるよ?

僕はハルの首もとに唇を落とした。





「うー!」

…ああ。

「うー!うぎゃー!」

あああー!

ハルは僕を押し退けた。
凛がお目覚めだ。



ガックリ。

やはり当分お預けみたい。
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