ばくだん凛ちゃん
お宮参りの日。
朝、窓を開けてみると空気は冷たいけれどよく晴れていて少しホッとした。

結局、義理の両親+お兄さん夫婦も一緒。
嫌じゃないけれど、結婚したら【家】を言うものを意識せざるを得ない。
まあ、私はもう血の繋がった人間が妹のナツと子供の凛しかいないから家も何もないけれど。

ただ。
凛が生まれてからは親戚中からお祝いが送られてきたり、そのお礼に電話を掛けまくる。
後ろで凛がギャアギャア泣いているのが聞こえると心配され…。
1階の義父母宅へやって来たように見せかけて、ウチに来る。
ありがたいけれど、親戚付き合いが今までなかった私にとっては疲れる時もある。



「…嫌な予感がする」

スーツに着替えた透が玄関を見つめた。
透が言う『嫌な予感』はロクな事がない。
私は思わず構える。

その瞬間にインターフォンが鳴る。

私が出ようとすると透が手で制した。

モニターで誰かを確認すると明らかに嫌な顔をする透。

「…どうされたのですか?」

『凛ちゃんのお宮参りに行こうかと』

インターフォン越しに聞こえたその声。
まさか、どうして来るのよ。

「僕、そんな事、言いましたっけ?」

透の声が不快で溢れている。

『純から聞いた』

「お帰りください」

透もはっきりと断る。

『純は良いって言ったぞ』

「凛の親は僕です。
年寄り同士、勝手に話を決めないでください」

もう、ただの言い合いにしかならない。
堂々巡りだわ。

私は凛を抱っこして玄関を開けた。

「ハル!」

後ろから透の怒った声が聞こえたけど。

開けるとそこに立っていたのはお義父さんの兄弟。

「おおー!凛ちゃん!」

私の手からスルリと凛を盗むかのように取り上げたのは長兄、武伯父さん。

「…その手をまず洗ってから、凛を抱っこして貰えません?」

透が玄関先まで出てきて、凛を奪い返した。



…結局、オジサン3人を家に上げる羽目になった。

この忙しい時に、何しに来るのよ!
まさか…、本気で一緒にお宮参りに来るんじゃないでしょうね!
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