ばくだん凛ちゃん

おかしいなあ…。

妹のナツが産まれた時。
私は１４歳。
その時は産んでしばらくしてお父さんとお母さんは離婚したから私がナツを見ていたのに。

ミルクをあげたり。
オムツを替えたり。

ナツも泣いていたはずなのに、こんなに辛くはなかった。

凛は…。

ずっと泣いてる。

おっぱいが足りないと思ってミルクをあげても。

飲んでしばらくしたらグズグズ言ってる。

オムツを替えてもグズグズ…。



額に手を当てて俯いているとチャイムが鳴る。

モニターを見ると桃ちゃんが映っていた。

「ハルちゃん、どう？」

桃ちゃんは透のお兄さんの奥さん。

私と同い年の義姉に当たる。

「お義母さんからハルちゃんの家に行って待っててって言われたの」

…多分、透がお義母さんに言ったのね、私の事。

「凛ちゃん、元気に泣いてるね〜。
私が少し相手しておくから、ハルちゃんは家の事とか何かしたら？」

桃ちゃんはお邪魔します、と言って、リビングで寝ている凛の元へ向かう。

私はその後をゆっくりと歩いて行った。



「あ、寝たね」

凛の洗濯物を干している間に桃ちゃんが抱っこしてくれていたおかげで凛は眠っていた。

「ありがとう、桃ちゃん」

そうお礼を言う途中で私の目から涙が溢れる。

「ハルちゃん、これくらいどうって事、ないよ！
休みの間は手伝うしね」

そう言って凛をタオルケットの上にそーって置こうとしたら、またふにゃふにゃと凛が言い出して慌てて桃ちゃんは抱っこし直す。

「桃ちゃん、ごめん。
私が抱っこするから」

と手を差し出したら桃ちゃんが

「ハルちゃん。
そんなに泣いているお母さんに抱っこされたら凛ちゃんも嫌がるよ。
凛ちゃん、不安だから泣いてるのかも。
今は私が抱っこするから、ハルちゃんは落ち着くまでボーッとしてていいからね」

手慣れた手つきで桃ちゃんが凛の背中を撫でた。

…いくら桃ちゃんが保育士さんとはいえ、私が不甲斐ないすぎだ。

ますます落ち込んでいきそう。