ばくだん凛ちゃん
「神宮寺先生、どうせ別れるんだから透先生に元旦くらい譲れば良いのに」

ハルの妹、なっちゃんくらいの若い看護師が文句を言ってくれた。

どうもありがとう。

「どうせ、別れるってみんな思ってるわよね」

プププ、と河内さんが吹き出した。

「…僕に押し付けたんだから、せめて別れるじゃなくて継続して頂きたいもんです」

速人も本当に落ち着いて欲しい。

また、問題を起こされてもたまったもんじゃない。



あ、PHSが揺れてる。

「はい、はい、今すぐ行きます」

僕が立ち去ろうとすると、

「はい、先生。
少しでも食べないと家に帰った時に力が出ませんよ」

河内さんから手のひらに小分けのお菓子を渡された。

「ありがとうございます」

僕はそれをポケットに突っ込んだ。

…僕、そういえば。
朝に家で食事してから何も食べてなかった。

河内さん、どうしてわかったんだろう…。



僕は少しだけ急いで救急外来に降りていった。
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