結婚ラプソディ
花嫁が泣かない、異常事態。

周りが…特に家族が泣くのを見ると逆にしっかりしないと、という意識が働いた。



家族…そう、私と透が結婚したから出来た家族。

きっと義理の両親は揉める事はあるだろうけれど。
色々手伝ってくださると思う。

お兄さんや桃ちゃんは今まで通り、何かあれば協力してくれると思う。

今の私には充分過ぎる人間関係だわ。



席に戻るとようやく透は落ち着いたみたい。



「透、大丈夫?」

いつもと立場が逆の台詞。

「…はい」

まだ目に涙が溜まっていますよっ。

でも透は微笑む。



良かった。

透が純粋な人で。



その後にお義父さんの挨拶があり、透の挨拶があり。



ようやくこの宴も終わりを告げようとしている。



良かった。

思ったよりも体調が崩れなくて。



私達は退場してあとはお見送り。



「さて…」

皆さんを送ってから両親と私達の4人になった。

「本番はこれからだよ。
ハル、体調が悪ければもう、今日はいいよ。
僕一人ででも何とかするし。
父さん、母さんと帰る?」

透の目が一瞬鋭くなる。

「3次会は無理だけれど、2次会までは何とか」

だってこれからが、本当の宴、なんだものね。

厄介な親戚は出席しないし。

両親もいないし。


「そう、じゃあ早く着替えて行こうか」

とりあえず、神宮寺先生主催の2次会へ。

私は差し出された透の手を取った。
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