結婚ラプソディ
「透と再会してから、不思議と20年という月日を感じませんでした。
透と私の間では物凄い勢いで結婚へ向かって突っ走っていく一方で物凄い不安が私を押しつぶそうとしました。
あまりにも育った環境が違いすぎます」

これを言うと透とご両親とお兄さんは大激怒するけど。

「そんな不安に襲われていた中、お腹に赤ちゃんがいることがわかりました。
まだ再会して1ヵ月くらいなのに。
色々な事を考えると怖くて仕方がなかったけれど、母のあの時の嬉しそうな顔を思い出して決めました。
透と結婚してこの子を産もうと」

私は大きくなっているお腹にそっと手を当てた。

「高校の時みたいに毎日が楽しいわけでもないし、医師の妻だなんて私に勤まるのか今でも疑問ですけど。
きっと透と一緒にいたら。
笑顔で過ごせると思います。仕事で会えなくても、今は心が繋がっているから」

ちょっと。
気持ち悪くなってきた。

一呼吸置く。

「それに今は私を助けてくれる、味方になってくれるお父さんもお母さんもお兄さんもお姉さんもいます」

私は新郎の親族席を見つめる。

「私は医師の妻としてまだまだわからない事だらけです。
ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」

あ、桃ちゃんが泣いた。



…あ、私?
案外メンタル強いかも。
透の大泣きを見たら泣くに泣けなくなったわ。
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