大人の初恋
「も~。カレシいるくせに、部長とまで仲良くしてさ、ズルいよ先輩はっ」 

「た、たまたま聞いただけよ、ホラ。こないだの飲み会で…さ。
 向こうのポストが1年待ちなんだって」

 他社とはいえ、花形の部所からここへの出向だ。
 何かあったに違いないと、少し前に彼に聞いたのだ。飛びきり意地悪く、
 “何かやらかしたの?”って。  

 そしたら笑ってそう答えた。
 
 ただし“飲み会で”じゃない。オワッた後、腕枕の中でだけど。

 私はまたつい、優越感を感じてしまう。

 う~、と唸りながらパタパタと暴れる彼女を宥めるのに、その後は一苦労だった。
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