異世界の英雄伝説
「それではこれから旅をする二人に武器と防具とその他持ち物を渡します。あ、ついでに洸さんにはこの世界で恥ずかしくないような服を渡します。」

俺はついで扱いなのか・・・ところで海里には服を渡さないのか気になるので聞いてみた。

「海里に服は渡さないのか?」

「海里さんには先に服を渡しています。ここでは着替えるところが無いのであっちの世界で着替えて下さい。人の通りが少ないところがたくさんあるので場所には困りませんよ」

そう言われ俺は武器と防具を渡された。

魔力が少ない俺はあまり魔法を使わない剣士の武器を渡された。渡された剣はいかにも初期装備って感じの安物の剣だ。こんな初期装備で見知らぬ世界に行かされても生き抜ける気がしない。

「こんなショボい武器じゃ戦闘の素人の俺はスライムにも勝てねぇよ。だからさクレアさん、俺に莫邪刀みたいな伝説の名刀をくださいっ!」

俺はそう言い頭を下げる。

その場にいるクレアと海里はキョトンとした顔をしている。フフ・・・無知には分からないだろうな。しょうがないから俺様は二人に『莫邪刀』について説明してやる事にした。

「『莫邪刀』とは中国の春秋時代に作られた中国史の五大宝剣の一つで莫邪という女性に作られた刀で・・・えーと、その刃に切れぬもの無く、斬られた傷は一生塞がらないという天下無双で男の中のオトコが使う武器で、えーと・・・」

アレ・・・?おかしいぞ・・・知っている知識を披露したいのに説明が上手く出来ないぞ?・・・てか、俺あんまり覚えていないっ?

次第にクレアと海里は俺を不審な目で見る。

「アンタ、もしかして好きな漫画に書いてあった事をそのまんま丸暗記しようとするタイプじゃない?録な参考文献も見ずに」

うっ・・・!心が痛い・・・!正にその通り・・・!

「うう・・・なんで分かったんだ・・・!何か恥ずかしいじゃん・・・!俺の凄いところを見せてやろうと思ったのに・・・」

そう・・・頭悪そうに見られているから挽回しようと思ってこの話をしたのに余計に頭悪そうに見られるとは・・・

「何となく・・・強いて言うなら勘かしら?アンタって頭悪そうな見た目だけど好きな事には一生懸命な感じがしたから。」

なんかその言葉がすごく優しく感じる。









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