食わずぎらいがなおったら。

リサとランチ



梅雨の合間の晴れた昼。

混んでるエレベータを待たずに、階段を駆け下りて正面玄関に向かう。

さすがに玄関付近では歩いて、自動ドアを出たところで武田に声をかけられた。

「香!昼飯?一緒に行くか?」

「ありがと、でも今日リサが来てるの」

「リサちゃん?俺も会いたい」

「ハイローズにいるよ!」

待たせているので、場所だけ言って走っていく。

今沢田と平内もいたから、来たって一緒に食べるわけじゃないしね。




先にお店に入っていたリサと落ち合って、武田が来るかもと伝えた。

すっかり忘れて話し込み始めた頃、リサちゃーん、と武田の声がした。入口で手を振っている。

リサが嬉しそうに、久しぶりーと手を振りかえす。

新入社員の頃に合コンをやったりして、リサと武田は何度も会っている。

近くの席は空いていなくて、3人は少し離れた奥の席に案内されていく。

挨拶しにいくと立ち上がったリサに着いて行った。





「武田くん、結婚おめでとう。遅くなったけど」

「おー、ありがと。リサちゃんおめでたなんだって?全然わかんないね」

「そうなの。5か月なんだけど、目立たないかな」

「リサちゃんの子だったら美人になるなあ」

武田はリサのファンを自認していて、リサちゃんどうしてる?ってたまに聞いてくる。




「リサと先輩だから、きっと相当かわいいよ。男の子だけどね」

「だんなさんイケメンだったっけ。こいつより?」

リサを見ながら、向かいに座った平内を指す。リサに答えにくい質問しないでよ。

「どっちもかっこいいけど、タイプが違う」

助け船を出した。先輩はひたすら明るいオーラがある人だから。




「どう違うんだよ」

「月と太陽みたいな」

「俺が月? ですか」

平内がいかにも怪訝そうに聞いてから、取って付けたように敬語にしてて笑える。武田達がいるからね。



ぽいでしょと笑って、ごはん来たから行こう、とリサを促して席に戻った。





月か。いいこと言ったな私。

平内は、気配消してるけど夜道で見上げたらそこにいて安心、そんな感じがする。

単に夜の仕事っぽい雰囲気でもあるんだけど。




さっきの人かっこいいね、後輩なの?とリサに聞かれた。香と仲良さそう、だって。

どこが。今ほとんどしゃべってないでしょ。
< 14 / 85 >

この作品をシェア

pagetop