食わずぎらいがなおったら。
リサは、高校の弓道部の仲間。

おっとりして見えても結構芯が強く、独特の感性も面白くて、私とはすごく気が合った。

選んだ大学も彼氏もリサにはあってなくて心配になったこともあったけど、かわいくて天然系としてどこでも愛されていた。




高校で大人気だった先輩と再会して、向こうは覚えてなかったのに一目惚れされ、早々と結婚して今妊娠中。

帰国子女ならではの語学スキルと経験を生かして、出産後も軽やかに仕事をするんだろう。




リサらしい、とみんなが言う。

そうだね。今のリサが本当のリサだって私も思う。




昔は、自分と同じような見えてなさが気になって、進路とか彼氏とかに結構口を出したりしてた。

いま思えば本当に余計なお世話。

リサは根が優しいから、そんな私を邪険にせずにいてくれたけど。

「香は賢いからなぁ」
リサはいつもそう言ってた。

私もどこかで、リサより自分のほうが優れていると思ってたのかもしれない。




でもねぇリサ。

今、私は仕事も恋も、全然うまくいかないの。

リサが幸せなのを喜んでるのも本当だけど、いつからこんなに隔たったのかって、卑屈になってる自分もいるの。

どこに向かって進めばいいのか、昔はもっと見えてた気がするのに、いつからわからなくなったんだろう。



それとも初めから、見えてるつもりなだけだったのかな。
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