食わずぎらいがなおったら。



翌日、お昼から戻ってきた真奈が、張り切った感じで声を掛けてきた。

「香さん、香さん!平内さんが車出してくれるそうです」

「車?」

「あのショッピングモール、ちょっと遠いじゃないですか。話したら一緒に行ってくれるって」

あ、遠いって言ってたね。そういうこと考えてたの?



ランチで一緒だったのかな。平内と真奈は最近仲がいい。

付き合っている雰囲気でもないけれど、前は自分からは口も利けない感じだった真奈がよく話しかけてる。わかんないなあ、色々と。



「私が香さんのマンションまで行って、そこで拾ってもらう感じにしましょうね」

真奈はこの買い物やたらに乗り気らしい。なんでもいいから平内と出かけたいのかな。

2人で行ってきてってわけにも行かないし、正直気が乗らないけど、しかたない。

さすがにやだなぁ、ずっとその3人。



出産祝いさっさと決めて、私が実家に寄るからって先に帰ったとしたら。

真奈に手出したり、しないよね? 今更そんなこという権利ないの、わかってるけど。




はあ。

無理だ。こういうの、慣れてない。何にも考えないで行こう。なるようになれ。
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