せめて、もう一度だけ
唇がはなれた瞬間、今度は遼くんがキスしてくれた。


何度も何度も、重なる唇。


もっともっと、ふれていたい。


手を重ねて、指をからめて。


「ミキ、いいの?」


「うん」



もう、戻れない。


深くて底の見えない海へもぐるように、ふたりだけの世界へ落ちてゆく。


遼くんの指が、私の体のすべてを優しくなでていて。


私はそれにこたえるように、遼くんの背中に爪をたてた。


遼くんとひとつになった瞬間。


今まで感じたことのない快感にふるえた。


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